大規模修繕工事新聞24年1月号(No.169)
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 神奈川県逗子市のマンション(2004年7月竣工・5階建て・38戸)の敷地である斜面が崩落して女子高校生(当時18歳)が亡くなった事件で横浜地裁は12月15日、「不法行為責任を負う」として管理会社側の賠償責任を認め、107万円の支払いを命じました。 裁判所は、事前に斜面に亀裂があることを把握していた管理会社の元担当者が県や市への連絡し、通行禁止措置等を行うなど事故発生の回避措置をとることが可能だった判断。元担当者の不法行為を認め、管理会社は使用者責任を負うとしました。 一方、横浜地検横須賀支部では12月13日、業務上過失致死容疑で書類送検された管理会社の元担当者を不起訴処分としました。 遺族側と区分所有者側は6月28日付で、区分所有者側が総額1億円の賠償金を支払うとして、和解が成立しています。マンション居住者の高齢化が進む中、住戸(専有部分)の保存や管理、あるいはリフォームなど、自身では対応できない人が増えると想定される。さらにマンション全体(共用部分)の管理(意思決定や責務等)に支障を来たすことも考えられる。 認知症など判断能力がなくなった場合、代理や後見制度等もあるが、本書ではよりハードルの低い「民事信託」の活用方法を紹介している。 事例では、マンションでの老後の生活に備えた民事信託の活用ケースを取り上げ、マンション信託の定義やポイント、信託設定実務の流れ等を解説。設定後の実務についてはQ&A形式で具体的で、わかりやすく説明している。 事件は2020年2月5日発災。遺族は翌年の命日である2月5日、区分所有者と管理組合、管理会社に対し、総額1億1,800万円の損害賠償を求めた民事訴訟を提起。管理会社を業務上過失致死、区分所有者を過失致死の疑いで刑事告訴していました。 事故があった斜面は2021年7月に法面災害復旧工事が完成。逗子市が管理組合に無利子・無担保で貸し付け、13年間で分割返済する内容で合意されています。 現場は「逗子市土砂災害等ハザードマップ」で土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定され、現地は急傾斜地の崩壊の危険=「がけ崩れ」の危険があると目されていました。編者/一般社団法人民事信託推進センター マンション支援信託推進委員会著者/海野千宏・黒須良次・田中康敦・森登規雄・山北 英仁発行/日本加除出版㈱体裁/ A5判・348ページ定価/ 4,290円(本体3,900円+税)発刊/ 2023年11月27日ISBN:978-4-8178-4913-7-6 - 『マンションにおける高齢居住者支援のための民事信託活用手引き』マンション管理の仕組み・対応、居住者の高齢化に伴う課題、信託契約、信託登記

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