大規模修繕工事新聞23年6月号(No.162)
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できるものにする。弁護士を外部専門家として監事に設置するといった方策も視野に入れて、第三者管理を考えてもいい時代に来たのではないかなと思います。佐藤:管理組合の代理人として弁護士が権利関係の対外折衝を行うことも可能ではないかという点で、話を聞きたいと思います。 例えば、大規模修繕工事を実施した後は、各種工事で一定期間の保証期間というものが設けられます。屋上防水であれば10年、外壁塗装であれば5年や7年という保証期間で、施工会社やメーカーが保証書を発行し、管理組合に引き渡されます。 ただ、保証契約に基づく不具合が発生したとしても、なかなか履行をスムーズに行わない施工会社もいるわけです。こうした場合、実際に管理組合が施工会社に直接話しても埒が明かないといったケースがあります。 こうした事例に対して、弁護士の先生方はどのような活躍をしていただけるのでしょうか。山村:実際に不具合が起きた場合、それが保証の範囲内であれば、当然に修補などの保証を行ってもらわなければなりません。 保証の範囲内であるにも関わらず修補を行わなかったり、保証の範囲外であることを主張して修補を拒否するという施工会社に対しては、管理組合として不具合が起きたこと、それが保証の範囲内であることを主張して修補などを求めていくわけですけれども、場合によっては裁判などになりかねない問題ですので、早い段階から弁護士に相談して弁護士から施工会社に働きかけてもらうようにしていくことも有効といえるでしょう。東妻:大規模修繕工事の契約については、「民間(七会)連合協定/マンション修繕工事請負契約約款契約書」を用いることがあると思います。 この中で、先ほどの契約不適合責任、要するに工事に何か問題があった際に請負者の責任を追及するといった場合に、約款では期間の制限が「引渡しから2年」と非常に短く設定されています。 契約内容が約款のままという場合、何か問題があるということを気づかないまま引渡しから2年を経過してしまうと、もはや契約不適合責任の追及ができなくなってしまうということになります。 このため、引渡しを受ける際に、第三者に問題がないかチェックをしてもらうことも考えたほうがよいかと思います。佐藤:時代や社会的な背景が複雑化し、管理組合が対面しなければならない問題も多方面に及び、なおかつ増加しています。 もはや従来通りの管理会社やコンサルタントの知見や能力だけに頼っておいては解決できない問題も発生しつつあるといえます。 新しい問題の解決には、従来にはない新しい仕組みの担い手が必要と考えており、全建センターでは弁護士がこの新しい仕組みの主要プレーヤーであるとこのように考えております。山村:理事のなり手不足が深刻な現在において、せっかく理事になっていただいた方が、トラブル解決などのためにストレスを抱えなければならないのは、理事のなり手不足をさらに加速させることになってしまいます。 何かトラブルが起きたとき、またはトラブルが起きる前でも、どうぞお気軽に弁護士に相談していただければと思います。東妻:理事の皆様におかれましては、お仕事とあるいはご家庭のそういったものと両立をさせながら、半ばボランティアのような形で役員としての業務に携わっておられる方も少なくないと思います。大変な負担を感じ取られる方もいらっしゃるかもしれません。 専門家の活用にはコストの発生ということは避けられないものではありますけれども、特定の理事の方に負担が重くのしかかるということがないように、ぜひ外部の専門家、特に弁護士を積極的に活用していただければと考えております。参考図書:全建文庫No.40「管理組合による最新の弁護士活用法」https://www.amazon.co.jp/dp/B0C57RJX17?ref=myi_title_dp参考動画:https://z-center.net/?page_id=605-5 - 大規模修繕工事の不具合施工会社への働きかけも有効多方面に及ぶマンション問題トラブル発生後でも前でも弁護士活用を

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