大規模修繕工事新聞23年6月号(No.162)
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 一般社団法人全国建物調査診断センターが2カ月ごとに主催している恒例管理組合オンラインセミナーの一部を紙上採録します。今回は4月24日にvimeoで公開した第63回セミナー「管理組合による最新の弁護士活用方法を伝授します!」の【後編】です。 なお、これまでのセミナーはvimeoにより動画配信を行っています。全建文庫電子版でもセミナーの内容等を収録した書籍を発行しています。 詳しくは9ページ『全建Library サブスクのご案内』をご覧ください。佐藤:それでは、新しい弁護士の活用方法について、ということでセミナー後半を続けてまいりたいと思います。 ここからは第三者管理方式について、弁護士の先生方をどう活用していくのか。リゾートマンションや都心の小さいマンション、あるいは高経年マンション等におきまして、理事や住民による管理が十分に行き届かない、管理不全マンションの救済法ともいわれている第三者管理方式と、弁護士との関わり方について提言いただきたいと思います。山村:第三者管理方式は理事のなり手不足が深刻な問題である現状において、区分所有者の負担を軽減できます。また、専門的な知見が豊富な担当者に依頼できるため、管理業務の効率化や合理化が可能となるでしょう。 しかし、他方でデメリットもあります。 管理費が高額になる、利益相反のリスクがある、管理組合における運営ノウハウが蓄積していかない、一度変更すると従来の管理方式に戻しにくいなどといったものがあります。 特に利益相反の問題は、大きな金額が絡む大規模修繕工事などにおいて問題となりやすく、これが起きないような仕組みや監視体制を構築していく必要があります。 このような監視体制の構築において弁護士を入れることを検討されてはいかがかと思います。東妻:外部専門家を活用する場合、管理組合の中で、どのようなパターンが適しているかに関しては十分に議論をなさっていただきたいというふうに思います。 外部専門家を導入する際には、管理規約の変更が必要となるというケースも少なくありません。最終的には総会で導入決議をしていただくということになります。 一度外部専門家を活用したけれども、うまくいかないから軌道修正をしようにも、総会で特別決議が必要になるということになると、非常に労力が必要になってしまいます。 このため、コンセンサスを取る段階で、十分に見極めをしていただきたいと思います。山村:現在、管理会社による第三者管理が話題になっています。 区分所有者の高齢化や賃貸化の増加等による役員のなり手不足は深刻な問題になりつつあります。また、マンションの高経年化や新築マンションの大型・高層化が進み、マンションの管理運営には専門的な知識が必要となっています。 このような状況において、いわば素人の集まりである理事会で管理運営を行うよりも、管理会社等の専門家にそれを委ねる方が合理的なことも多いでしょう。 しかし、理事会を廃止する理事会外部管理者総会監督型の場合、年に数回しか開かれない総会が外部管理者を監督しなければなりません。区分所有者から監事を選任して外部管理者を監視することも義務づけられていますが、これもどれくらい機能するのか分からない部分もあります。 それに加え、一度理事会を廃止したら、その後理事会を復活させるためには手続上、非常に高いハードルがあります。 管理会社による第三者管理方式を導入するには、このようなメリット・デメリットを十分に理解した上で判断する必要があります。佐藤:利益相反等、デメリットの部分には、法的あるいは知見も含めた弁護士のようなプロの目線を入れることによって、その副作用を緩和-4 - 第三者管理はデメリットあり監視体制に弁護士活用を

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