大規模修繕工事新聞23年4月号(No.160)
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『朽ちるマンション 老いる住民』著者/朝日新聞取材班出版社/朝日新聞出版判型/朝日新書・216ページ定価/ 810円(税別)2023年1月30日発行ISBN: 978-4-02-295204-2『負動産地獄 その相続は重荷です』著者/牧野知弘出版社/文藝春秋判型/文春新書・240ページ定価/ 950円(税別)2023年2月20日発行ISBN: 978-4-16-661398-4『朽ちるマンション 老いる住民』 本書は2021年、22年に朝日新聞紙面および朝日新聞デジタルで連載した記事をもとに再構成したもの。管理会社の契約打ち切り、大規模修繕費用の水増し請求、空き機械式駐車場、理事のなり手不足など、昨今のマンションを取り巻く問題について、実際の管理組合役員や住民の声、そしてそれに応える専門家の助言等が掲載されている。 大発行部数を誇る日本の全国紙の連載企画だけに、一般の人にわかりやすい切り口でテーマを掘り下げているため、マンション問題が身近なものに感じられる。 全国紙がどのような専門家を取材対象として選択しているのかなど、業界の物差しとしても参考になるかもしれない。『負動産地獄 その相続は重荷です』 著者が繰り返し記すのが「一番困るのは相続人である子どもたち」。一次相続の場合、「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」によって税金の心配がないといわれる。ところが二次相続の場合はこれらが当てはまらない。 課税がなくても処分に困る家、買い手も借り手もつかないマーケットがない家はたくさんある。マンションの場合、売れない、貸せなくも相続人は管理費等を支払わなければならない。相続した不動産は「もはや資産ではく負債そのもの」になる可能性が小さくない。 「負の相続」にならないために著者が「絶対にやるべき」としているのが、相続前の親子会議、家族信託等である。所有者が亡くなったり、認知症になる前から、その後の対処を決めておかないと、待っているのは「負動産地獄」かも!?-12 -

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