大規模修繕工事新聞23年3月号(No.159)
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になりますので、早め早めの相談をいただいて計画を立てていかないと、材料が入らないとか、職人がいないということになります。佐藤理事 職人不足について、例えば多能工、1人2役、3役できる人がいれば解決できる問題ではないのですか?木村理事 配管屋さんは割と器用で、小規模な内装工事くらいならできる人はいますが、内装屋、大工が給排水をやるっていうことはまずないですね。 多能工は理想ですが、日本の建設業界が垂直分業なんですね。各種の専門分野で成り立っている。1つの分野で見習いから1人前になってという具合です。1人前の仕事ができるには年季がいる、という考え方が日本の建設業界にあるのです。水島理事 前回のセミナーでも再三申し上げましたが、管理会社変更というのは結局、「目的を持ってやりましょう」ということです。 単に今のフロント担当者と相性が悪いからとか、今の管理員がしっかりしていないとか。そういった感情的な部分ではなく、やはり、将来的に自分たちの住んでるマンションがどういう風になっていきたいのか、どういう風にしていこうかなど、管理組合としてきちんとしたビジョンを持って取り組むべきじゃないのかと思います。 管理会社では現在、収益の取れない物件に関して契約更新をしないという大手の管理会社があります。今、人件費の高騰であったり、管理会社を取り巻く環境は非常に厳しくなってきているので、以前は「大手だからいいだろう」ということもありましたが、今は管理組合側の方がパートナーとして今の管理会社がふさわしいかどうかきちんと検証してから、管理会社変更に取りかかっていただきないなと思っています。佐藤理事 管理会社を変更しようと思うと、一般的にどのくらいの期間を見ておいたらいいのでしょうか?契約更新のときに管理自体が途切れてはいけないので。水島理事 基本的には半年ぐらいかかる作業になります。契約期間の終わりから逆算で進めていくので、まず、管理組合の年度と委託契約の期間は別なので、そこを確認にしてください。 現実的に理事会が中心になるものの、やっぱり水先案内人として管理会社変更のためのコンサルタントがいたほうがスケジュール管理も安心です。 管理組合側で詳しい方がいれば、その方が率先してやっていただいてもいいんですけど、いわゆるプロ同士で話したほうが実務的に早い部分があるというのはあります。水島理事 第三者管理方式が進んだポイントは標準管理規約の改正(平成28年)です。35条の役員選任の要件について、「外部専門家を理事として選任できることとする場合」が可能となりました。 この場合の専門家としては、マンション管理士のほか弁護士、建築士など一定の専門家が想定されています。 ただし、この第三者管理方式は、すべてのマンションに当てはまるわけではないと、私個人としては考えています。しっかりとしたコミュニティがあってきちんとした管理組合運営がなされてるマンションには当てはまらないかもしれません。 一方、住民が高齢化しているマンションや区分所有者がほとんど外部にいる投資用マンション、リゾートマンションに関しては当てはまるケースもあるといえます。 現在の理事会方式では理事長が管理者ですが、一区分所有者にそこまでの責任を負わせるのかという部分もあり、権限が大きすぎるというのもちょっと問題があるかなと思います。 今、大手の管理会社から管理組合に対する提案が出てきていますけれど、まだ私自身も良い悪いの判断はちょっとまだできないのが現状でございます。佐藤理事 管理会社は管理者としての役割について、「プロフェッショナルとしての役割はプロに任したらどうか」という発想です。 ただし、実例が少なく、フィードバックされた問題点が表に出ていません。現実的なフィードバックによりメリット、デメリットがわかれば、またこうしたセミナー等で解説していただけるよいと思います。今回のセミナーの詳細は全建文庫No.39「管理組合の悩みに全て答えます!2022年相談ベストテン」をお読みください。https://zenkenlibrary.shop-pro.jp/?pid=173292072-7 -

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