大規模修繕工事新聞23年3月号(No.159)
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佐藤理事 当センターではトータルマネジメント(TM)方式を5年ほど前に提言・発信させていただきました。 TM方式は、設計監理方式とは別物です。設計監理方式と同じように工事全体の管理などを求められても、全然違うものということになります。 管理組合の中で工事会社選定の合意が取れている必要があります。すなわち施工の担い手の姿が見えている管理組合に対して最も適してます。 工事会社から見積もりを取って競争さして、プレゼンを受けてという一連の過程のサポートにお金を払う必要はありません。 管理組合が特定の工事会社を決めて、それを当センターが適切な会社か、適切な工事内容か、適切な工事金額かをジャッジするのがTM方式なのです。 費用は設計監理方式よりはるかに安いです。なぜかというと、設計、監理、検査は工事会社がやることになるからです。 TM方式とは、信頼関係で工事が成立するのをお手伝いすることだと理解していただける管理組合であれば有効だといえます。水島理事 管理組合から相談を受ける際、修繕積立金が実際ショートしてしまうマンションがほとんどです。ひとつ言えるのは、まずは長期修催計画をきちんと作りましょうということです。 国土交通省の修繕積立金ガイドラインに当てはめると、今の積立金では足りないということになってくると思います。ガイドラインの数字がダメというわけではなく、現実の話と乖離している部分が多い。 ですので長期修催計画をきちんとできてるかどうかを見直していただくことがスタートです。 修繕積立金の用途は大規模修繕工事をはじめとして、共用部分が対象で、それが30年間のうち、いつどういった工事が必要なのか、グロスでどのくらいかかるのか。その把握が一番大事なのです。木村理事 最近よく相談受けるのは、専有部分の給水管、給湯管、排水管の取替えについて基本的に長期修繕計画に入っていないということです。 専有部分の配管改修を共用部分と一体的にやった方がおそらくコスト的には抑えれると思います。 しかし、修繕積立金では一体的工事ができないケースが圧倒的に多いわけです。貯まっている資金でやれる管理組合はほとんどないんじゃないかと思います。水島理事 有名なあるマンションで長期修繕計画どおりにきちんと工事を行うと、1戸当たり2,000万円かかるレベルだそうです。まずはやはりきちんと自分たちのマンションの長期修繕計画の見直しですね。そこがスタートです。レができるような仕組みがやっぱり必要になってくると思います。 仮設工事費も今後は膨らんでくると思います。お客様の要望がどこまであるのかって工事会社側はわからない。その情報を得られるのがコンサルタントの要件となってきます。木村理事 直近の給排水管改修の実情ということですけども、様々な社会情勢がありまして、ポンプや給湯器、エアコンなど主に機械類の納期が決まらないという問題があります。 また、築30年、40年の室内に入って給排水管を取り替えなければならない、内装工事が伴う場合、お住まいの中で床や壁や天井を壊して戻すことができる職人さんが非常に少なくなっています。 この状況は、2024年までもまだ続いていくと感じてます。 工事をやりたくても、良好な職人さんが確保できない。そういうこと木村理事 先ほどもお話した通り、近年はお部屋の中に入る工事が多いですから、100世帯あったら100世帯の工事パターンがあって。その工事をきちっと監理して、助言して、いい工事を残していくというより、居住者の皆さん、管理組合さんを全体的にサポートできるコンサルタントが必要ということになると思います。 これをできる人は実際問題、なかなかいません。給排水管改修で専有部分に入る工事について、どれだけ景観を持っているコンサルタントなのかということが非常に大切な要件です。佐藤理事 すなわち工事を成功に導くには、技術的なサポートだけではなく、ソフトパワーみたいなことも含めて知恵袋を持ったコンサルタントじゃないとトラブルになる可能性があるということですね。木村理事 例えばトイレ回りの改修で、最低2日間トイレが使えないとなると、住民の高齢化の問題と相まって、玄関の外に出なくてもトイ-6 -

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