大規模修繕工事新聞23年3月号(No.159)
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 第三者の法的な立場の目線が入ることで、緊張感のある信頼関係が築きやすいというメリットもあります。佐藤理事 国土交通省の全国マンション総合調査によると、日本のマンションの7割は50歳以上の人が住んでるというのが実情で、バリバリ働いてこれから給料が上がる30歳代はたった7.1パーセントしかいないんです。 もう少子高齢化、ここに極まれり!ということがマンションの年齢構成を見てわかります。この問題に踏み込まない限りは日本のマンションスラム化しますよ。 マンションの財産価値を図るんだっていう話で、現役としての収入もなく、年金だけの人で決められていく。資産価値という言葉がどれぐらいほど響くでしょうか。 どう暮らしたいか、どう暮らしたら幸せか―この突き詰めをピシッ管理組合としてやるべきだという風に思います。この突き詰めをやることによってコミュニケーションが取れてくる。ここが大事で、コミュニティの醸成にもつながります。 そして、同じ方向性が持てるようになれば、建物をどうするのかという方向性も決まってくるんです。水島理事 役員が60歳代、70歳代だと、例えばペーパーレスにしようとかって言ってもなかなかできない。パソコンでメールのやりとりができないので、いまだに掲示物をフロント担当に持っていかないといけないとか、非効率な部分につながってしまう恐れもあるんです。 先ほど佐藤理事の話にもあったとおり、どういうマンションにしていくかという、きちんとしたビジョン作りが重要だと思います。木村理事 そのマンションにとってどのような方法が適切なのかをきちっと考えて方法を決めることが大事だと思います。 基本的には更新工事を行いますが、部分的にはどうしても延命工法や更生工法しかできない部分も給排水管の中にはあります。 日常生活を営む中で限られた制限断水、排水制限を行う場合、それぞれのマンションの特性に適した工法を選んでいく、ということが大事なわけです。佐藤理事 率直にお聞きしたいんですが、お金の部分も大きいと思います。例えば築40年くらいのときって、3回目の大規模修繕、エレベーターや機械式駐車場、開口部の更新なども重なる時期ですよね?木村理事 たとえば、現在は排水管の問い合わせが非常に多いんですけど、排水管の改修工事については、ライニング工事の方が圧倒的に安いってこと、実はそうでもありません。 配管のある位置とかでライニング工事の方が高いこともあるんです。 逆に更新工事のほうが4倍も高い場合もあります。だからどの工法がいいってわけじゃないんです、やっぱり。 長いスパンで考えた時に、その時期にどの工法を当てはめるのがよいのか。全体を見て決めていくっていうことですね。-5 -

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