大規模修繕工事新聞22年8月号(No.152)
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 もともとの長期修繕計画に給湯銅管の修繕計画は一切ないので、修繕積立金を値上げして対応するしかありません。 つまり、管理組合事業で修繕積立金を取り崩して専有部分の配管工事をやることは簡単にはいかないということです。専有部分の部屋の中に入って、床を剥がす、壁を剥がす、設備機器を取り外す…いろいろな内装工事が発生し、非常に高額な費用がかかってしまいます。 給湯管を取り替えようと管理組合でほぼまとまったときに必ず発生するのが、「どうせ専有部分に入って床も壁も壊すのなら給水管も同時にやりましょう」「排水管も同時にやりましょう」ということになってしまう、これが一番良くない傾向です。 これが余計な工事を生んで、結果、修繕積立金不足、値上げというふうになってしまいます。これでは問題解決しているのかどうなのか、よくわからなくなります。長期修繕計画に給湯管の項目作成を 長期修繕計画はこの際、現在給水管の修繕項目ある「更生」を廃止し、「異種金属接合部のみの修繕」に変更してください。これで費用はガクンと下がります。次に「(更生後)取替」は「30~ 40年」、「(更生なし)取替」は「28 ~ 32年」とありますが、「更新」「40 ~ 50年」に変更してください。そうするとスパンが長くなって、月当たりの費用が下がります。 排水管は更生工事のみにして、更新(取替)工事は除外してください。更生工事で十分です。前提で、予防工事を実施してください。これで一番安く上がるのが給湯管の更生工事です。銅管の内部に樹脂を塗るという工事です。 樹脂を塗ると、シリカの結晶の発生が抑制されます。さらに肉厚ができて、穴があきにくくなるということで、これが一番単純で安上がりな給湯管の更生工法です。全戸で実施できます。 築20年経ち、ピンホールが心配だという管理組合には専有部給湯管更生工事をおすすめします。ぜひ検討してください。肉厚ができて、穴があきにくくなるということで、これが一番単純で安上がりな給湯管の更生工法です。全戸で実施できます。 築20年経ち、ピンホールが心配だという管理組合には専有部給湯管更生工事をおすすめします。ぜひ検討してください。 ただし、すでにピンホールだらけで、もはや更生工事では間に合わないという高経年マンションでは、ねん出した費用を使って、専有部給湯管更新工事(樹脂管に取り替え)をやるしかありません。 ですが、ついでに給水管も、排水管もやろうとなってはいけません。あくまでも「給湯管」のみを取り替えるのがミソです。 あれもやろうこれもやろうでは、結局戸当たり100万円以上かかるとか、150万円になるとかという話になってしまいます。給湯管の更新工事を選択したら、給湯管だけを行うと、これが絶対的なミソなのです。 大規模修繕工事の鉄部塗装と同じ考え方で、塗装すれば何十年も使えます。この見直しによって、既存の長期修繕計画から給湯管の修繕原資をねん出します。 ねん出した費用で、専有部給湯管更生工事を実施します。ピンホール漏水の説明を先ほどしましたけれども、調査をしてもわかりません。針の穴を見つけることは調査ではできません。 このため、「ピンホールは発生するものだ」という-4 -

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