大規模修繕工事新聞22年8月号(No.152)
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流れるから発生するということになります。(2) 銅管20Aの肉厚が薄い(Mタイプ肉厚0.81mm)からです。薄いからピンホールができやすいということです。実際に私が調査に行った現場ですが、カーペットや押入れがずぶ濡れでした。 銅管は専有部分の中しかありませんので、しかもエルボの付近で流速が速くなるところに穴があくピンホール現象が発生するので、どういうところに発生するのかというと例えば台所付近や洗面化粧台付近の立ち上がりのエルボなどの部位に発生するのが多くの事例でよくみられております。 ピンホールで漏水をするとどうなるかという写真を3枚載せます。いずれも実際に私が調査に行った現場ですが、カーペットや押入れがずぶ濡れでした。  漏水は自分の住戸だけの被害で済めばいいんですが、間違いなく漏水被害は下の階の専有部分に及びます。階下住戸に行って天井をあけると漏水が起きている、押入れを開けると家財がずぶ濡れになっているというような被害が必ず起きています。 マンションからの漏水で非常に被害が大きくなるというのが給湯銅管の漏水であります。長期修繕計画における給湯管の位置づけ 国土交通省が2021年9月に発表した長期修繕計画作成ガイドラインで、給湯管の記述はまったくありません。当然、給湯管は専有部分で区分所有者の資産のため、長期修繕計画では扱わないことになっています。 漏水被害が一番多いのに長期修繕計画に立てていない形になっているのです。こういう形になっているから、世の中、給湯管の漏水問題が解決しないのでしょう。 結論は、①まず国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインに従っていても、給湯管漏水問題は何も解決しません。②管理会社は専有部分の資産ということで、解決案を何も持っていません。③結局は管理組合で解決方法を考えるしかないのです。 漏水による被害は管理組合の保険で対応しているが、原因個所の修繕はあくまでも専有部分扱いで、各戸任せとなっているケースが多いといえます。 漏水が発生した住戸はこれまで、個別で修繕するしかないといった決まりでした。 一方、管理組合事業として長期修繕計画に給湯管工事を盛り込み、各戸の取り替え工事をしようという管理組合もあります。同時に管理規約を改正し、専有部分の工事に対し修繕積立金の取り崩しを可能にする対応をとっている管理組合もあります。原資となる修繕積立金の値上げも検討する必要があるでしょう。給湯管ピンホール(3) 水(お湯)の中に穴をあける成分があるということです。 どういうところで発生するかというと、圧倒的にエルボ/チーズ継手付近です。水の流れが速いところで発生しやすいというデータがあります。 水の中に含まれている、穴をあける成分とは何か。これは、水の中にシリカ(ケイ素)が含まれているから発生することになります。これが影響しています。シリカ(ケイ素)が水の中に含まれ、ガラス状の結晶状物になるから、銅管に穴があくということになります。 水の流れと、ガラスの結晶状物が管に当たってピンホールができると、こういうふうになります。肉厚が厚ければ、ピンホールになりにくく。薄ければ、ピンホール現象になります。 銅管は専有部分の中しかありませんので、しかもエルボの付近で流速が速くなるところに穴があくピンホール現象が発生するので、どういうところに発生するのかというと例えば台所付近や洗面化粧台付近の立ち上がりのエルボなどの部位に発生するのが多くの事例でよくみられております。 ピンホールで漏水をするとどうなるかという写真を3枚載せます。いずれも-3 -

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