大規模修繕工事新聞22年6月号(No.150)
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一般社団法人 全国建物調査診断センター筆頭理事 佐藤 成幸・マンション管理士 ・一級建築施工管理技士置も解除され、徐々に日常の生活を取り戻しつつあるものと思われますが、一方で第7波の懸念もあると言われています。 明るい兆しが見えながら、今も感染症対策をやめることはできない状態です。「備えあれば憂いなし」と言いますが、何かことが大きくなってから、あるいは閉塞された時間等になってから、管理組合における、さまざまな大規模修繕工事の検討が滞ってはいけません。 そこで、その解決策としての「オンライン化」というものがあります。今回は、こうした「オンラインにおける大規模修繕工事のコンサルティング手法」について、説明いたします。理事会/修繕委員会でのオンライン化の実際物件概要 ○○県○○市 29階、31階建てタワー2棟、13階建て高層2棟、計4棟 総戸数900戸弱、別に商業棟あり ※2回目の大規模修繕工事 大規模修繕工事の検討については、内容が多岐で、長期間にわたります。短くても1年程度の時間がかかる。その後、工事を行うことになるので、大規模な戸数、あるいは複雑な形状の棟などになると、検討期間が2年になるということも少なくありません。 その打ち合わせの過程を非接触・非対面、つまりオンラインの環境の中で実施をしていくのが全建センターのオンライン大規模修繕方式ということになります。 事例マンションでは、2021年2月以降の理事会、修繕委員会はすべてオンラインで実施をしました。その間、緊急事態宣言等も出されましたが、決めたスケジュールで、着実に打ち合わせを重ね、大規模修繕工事の検討を進めました。○通信環境の整備 各住戸にはインターネット回線が入っていますが、共用部分である集会室にはインターネット環境がありませんでした。このため、同集会室や、その他3棟のエントランスホールへの光ファイバーの導入を行いました。 多棟型である、戸数が大きいマンションでは、どのように住民に対してきちっと情報を提供できる環境を整えるのか―さまざまな場所でインターネット通信が可能となる環境を整える必要がありました。 集会室はもともと理事会や委員会等で30名ほどの人が集まっていました。コンサルティング側、施工会社側はそれぞれ拠点となる場所からオンラインで結んで対応することになりますが、マンション側では各人、ご自宅からオンラインで参加された方もいましたが、少なからず集会室に集まる人数もありましたので、大人数会議用の集音マイク、スピーカーを購入しました。さらに複数台のカメラの購入ならびに付属備品(三脚など)を買っています。 カメラが定点だけだと、意見をいう人が、カメラに入らず声だけ聞こえてくるケースがあります。カメラの角度を変えることができ、しかも複数台あり、切り替えがうまくいくと、発言される人の声だけでなく、映像も映し出すことができます。そうすると会議にリアリティーが出てくるんですね。 パソコンの小さい画面では人数が増えると、参加者のコマが小さくなり一人ひとりの顔が見づらくなります。集会室では、プロジェクターから大きなスクリーンに映しながら会議を進めるよう機器の購入も行っております。 こうした一連のオンライン化の流れは、組合員の理解がどうしても必要です。それはなぜかというと、事例マンションでは従来、一般社団法人全国建物調査診断センター(全建センター)が4月24日、You Tubeで公開した第57回管理組合セミナー「オンラインにおける大規模修繕工事のコンサルティング手法」の模様を紙上採録します。なお、これまでのセミナーは、You Tubeにより動画配信を行っています。全建情報図書館でもセミナーの内容等を収録した書籍を発行しています。-4 -

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