大規模修繕工事新聞22年5月号(No.149)
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   マンション管理適正化推進計画制度において、認定基準は①管理組合の運営、②管理規約、③管理組合の経理、④長期修繕計画の作成と見直し、⑤その他の5つのカテゴリーにわたっている。基準に満たないマンションは必要に応じて専門家の派遣などを通じて指導・助言の措置をすることになる。 マンションストック活用研究委員会では、特に、持続可能なコミュニティ形成によるマンションの長寿命化に向け、マンションストックのリノベーション手法や震災復興下でのマンション再生、管理運営に関わる図書類の保管問題、専有部分のリフォーム、外国人居住問題と多岐の問題に取り組んできた。 マンション管理の認定制度運用がスタートするのを機に、これまでの研究成果を踏まえて、マンションの長寿命化と管理計画の適正化について幅広く議論する。管理計画認定制度は、「他人任せの管理ではなくて自分たちの財産は自分たちで守る」という、当たり前の管理組合運営の適正化指向につながる良き機会であるため、今回の管理適正化法等の改正の趣旨を正しく区分所有者に告知する使命が専門家らに課せられたともいえる。 すでにマンション学で発表されている管理組合運営の適正度評価チェックリストは、管理の良いマンションには不動産売買時にインセンティブを付与する制度の導入提案である。 今回の法改正を機会に、管理組合運営の適正化の推進策である管理計画認定制度の運用関係のガイドラインが作成され、認定基準等に基づき「自分たちの財産は自分たちで守る」自主的運営に期待しているが、区分所有者らに評価項目等のわかりやすい説明が必要である。 RC造は必ずしも半永久的構造物ではなくて、維持管理の必要性が認識されるようになった。物理的劣化の抑制策が大規模修繕工事であり、極論ではあるが鉄筋をサビさせなければ(適正な維持管理・保全がなされれば)、RC造の寿命は100年・200年以上のオーダーであるがゆえ、孫やひ孫の代以上に引き継げる制度の構築が必要である。そのためにも「適正な管理組合運営上の知見」「維持保全に必要な資金・財源の確保」が最低限必要な事項である。 管理計画認定制度の執行主体である地方自治体を軸にマンション管理士・建築士・弁護士等の果たす役割は大きく、関連専門団体らと連携した協働活動体制ができてこそ、管理不全マンションの適正化に向けての長期継続が可能になると考えている。管理計画の認定の目的は、マンションの修繕、そのため-4 -   一般社団法人日本マンション学会は4月16日17日、オンライン方式で第30回千葉大会を開催しました。 今大会は学会創立30周年記念行事の一環であり、メインシンポジウムは「学の原点」に立ち返り、これまでの歴史を振り返りつつ今後目指すべきマンション像、その実現に向けて「マンション新時代を展望する」をテーマにしました。 さらに「現状分析から捉える持続可能なマンション居住の展望と課題」「認知症高齢者等の事例と対応マニュアルの指針」「マンションにおける給排水設備改修工事費の傾向」など9つの分科会報告を行いました。ここでは第2分科会「マンションの長寿命化と管理計画認定制度のあり方」の一部を抜粋して紙上採録します。【趣旨説明】鈴木克彦氏(日本マンション学会会長)京都橘大学工学部教授

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