大規模修繕工事新聞22年4月号(No.148)
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 管理規約に「住宅専用」規定を 規約違反は使用禁止を求めることができる  専有部分を賃貸で事務所に 止やめさせる方法ありますか?解されています。 このような諸要素を考慮して、本件の賃貸が区分所有者の共同の利益に反すると判断されれば、管理組合は共同利益背反行為としてこれを止めさせることができますが、そうでなければ、これを止めさせることはできません。 そして、共同利益背反行為に当たらないにもかかわらず、管理組合が当該賃貸を止めさせた場合は、区分所有権の不当な侵害として、損害賠償義務を負うこともあるでしょう。◇ 専有部分の住宅専用以外の使用を禁止したいのであれば、まずは管理規約に当該規定を設けることが最優先といえるでしょう。 ちなみに、標準管理規約第12条は「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、 他の用途に供してはならない」と規定しています。◆山村弁護士への相談は… 当マンションの区分所有者が専有部分をある法人に賃貸して、その法人の事務所に利用させようとしています。このような行為を止めさせることはできますか。また仮に止めさせた場合、管理組合側が何か責任を負うようなことはありますか。 マンションの区分所有者は、本来、自己の専有部分について、これを自由に使用・収益・処分することができますので、専有部分を法人の事務所として賃貸することは自由にできるはずです。 しかし管理規約に専有部分を住宅専用とする規定がある場合、この規定はマンション全体の維持管理または共同生活上の秩序維持の要請に基づくものである限り有効であると解されていますので、区分所有者はこれに従わなければなりません。 したがって、管理規約に規定がある場合は、管理組合は当該区分所有者に対し、管理規約違反を理由に法人の事務所としての賃貸を止めさせることができます。 近時の裁判例に、マンションの居室を障害者のグループホームとして使用していた社会福祉法人に対し、管理組合が住宅以外の使用を禁止する管理規約に反するとして、使用の禁止を求めた事案があります(右記参照)。◇ では管理規約に専有部分を住宅専用とする規定がなかった場合はどうでしょうか。 この場合、区分所有者が専有部分を法人の事務所として賃貸することを否定する管理規約上の根拠はないことになります。 もっとも、区分所有法6条1項は区分所有者の共同の利益に反する行為を禁止しており、共同の利益に反する行為にあたるかどうかは、当該行為の必要性の程度、これによって区分所有者が被る不利益の態様、程度等の諸事情を比較考量して決すべきものと☎03-5510-2121 E-mail:yamamura@oylaw.jp-8 -  

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