大規模修繕工事新聞22年4月号(No.148)
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 マンション管理センターに寄せられた令和2年度の相談件数は9,476件で、前年度比で109.6%でした。新型コロナウイルスの感染拡大における通常総会の開催などの相談が931件だったこともあり、平成23年度以降、もっとも多くの相談が寄せられました。 中でも「WEB会議システム等を用いて総会や理事会を開催することはできるか」など、ITの活用に関する相談が数多くありました。WEB会議システム等を用いた総会、理事会の開催については、令和3年6月の標準管理規約改正により、必要な規定の整備が行われています。 4月からマンション管理計画認定制度がスタートします。改めて、標準管理規約の改正部分を確認してみましょう。単棟型、団地型、複合用途型⑴ITを活用した総会・理事会 令和3年6月に改正された標準管理規約の47条(総単棟型、団地型、複合用途型⑴ITを活用した総会・理事会 令和3年6月に改正された標準管理規約の47条(総会の会議及び議事)と53条(理事会の会議及び議事)に、「WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む」という文言が追加されています。 ただし、国土交通省の発表では「この ITを活用した総会・理事会については、それを可能とすることを明確化する観点から標準単棟型、団地型、複合用途型単棟型、団地型、複合用途型⑴ITを活用した総会・理事会 令和3年6月に改正された標準管理規約の47条(総会の会議及び議事)と53条(理事会の会議及び議事)に、「WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む」という文言が追加されています。 ただし、国土交通省の発表では「この ITを活用した総会・理事会については、それを可能とすることを明確化する観点から標準管理規約の改正を行っているものであるため、この改正に伴って各管理組合の管理規約を変更しなくとも、ITを活用した総会・理事会の開催は可能」との見解が示されています。そのため、管理規約を変更しなくてもITを活用した総会・理事会を開催することは可能ということになります。 管理組合運営において、ITの活用はさらに進むと思われますが、例えばパソコンを持っていない、うまく活用できないといった組合員もいます。また、どうしても総会に出席して、発言したいといった希望を持つ組合員もいます。 このような組合員がいる場合には、管理組合としては組合員の権利を奪うことはできないので、WEB会議システムによる総会とは別に総会会場を設定して、会場への出席も選択できるような方法の併用も検討しなければならないといった注意が必要です。 とはいえ無条件で開催できるというわけではなく、2条11号のWEB会議システムの定義「電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等をいう」をクリアする必要があります。 「総会・理事会の様子をパソコンなどで見ることができる」というだけでは、総会や理事会に出席していると言えないので、注意が必要です。 理事長は毎年1回、事務に関する報告をしなければなりませんが、理事長による事務報告は「ITを活用した総会」等でも可能であると第38条関係コメント②に記載されました。 ただし、ITを活用して実施する場合にはWEB会議システム等を用いない場合と同様、各組合員からの質疑等への応答について、適切に対応する必要があると併せてコメントされています。 ITを活用した総会・理事会の開催は管理規約を変更しなくても可能であるとの見解が示されましたが、管理規約に明確化しておかないで、組合員の理解を得られるのか、また将来トラブルにならないのかといったことは考える必要があるのではないかと思います。・ 管理組合においては、WEB 会議システム等を用いて総会や理事会を開催できることを明確化しておくことは円滑な管理組合運営に欠かせないことから、管理規約にその旨を定めておくことが望ましい。・ 総会等の会議の運営ルール(本人確認や議決権行使の方法、通信障害時の対応など)について検討し、細則等の規定により明確にしておくことが望ましい。-4 -

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