大規模修繕工事新聞21年11月号(No.143)
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(2)設計事務所の提案内容① 給水管は更新時期にきており、早急に更新工事を計画すべき② 排水管は更新時期にきており、早急に更新工事を計画すべき③ 給湯管も給水管と同時に更新工事を計画して効率化をはかるべき➡ 給排水管更新工事を同時に実施することで、工事を別々に実施するよりも工事費が抑制できる。◆ 修繕コンサルタント(設計事務所)の評価をまとめると、すべての工事を同時に行うこととなり、結果として莫大な工事費を必要とする大きな工事の提案となることが考えられます。(3)全建センターの評価 調査結果を全建センターのセカンドオピニオン制度を利用して実施した調査診断結果を説明します。<給水管>・ 給水管内部のこぶは、錆ではない。施工時に使うシールテープ、防食材がはみ出たものである。・ 配管(継手、直管、ライニングの部分)の肉厚は十分ある。 抜管調査した現物を管理組合理事、修繕委員の前で確認いたしました。<給湯管>・ 緑青は銅表面を保護する皮膜であり、腐食物ではない。・ 薄緑色の皮膜は、オルトケイ酸銅である可能性が高く、腐食ではない。<排水管>・ 排水鋳鉄管の外面は、特に問題はない。錆もほとんどない。・ 塩ビ管は紫外線により劣化するため、隠蔽部では劣化速度が遅く、まだ使える状態である。・ 鋳鉄管は4mmあるいは4.5mmなど、非常に肉厚で作られているため、内部に汚れが付きやすい性質があっても、研磨・ケレンすればすぐに落とせるものである。・ 排水管の内面の汚れ、表面錆を除去しても、肉厚は十分(4mm以上)ある可能性が大きい。(4)全建センターの提案内容① 給水管は、表面に錆はあるもの、肉厚は十分あり継続使用すべき② 給湯管(銅管)は材質的に劣化に強くて問題なく、継続使用すべき③ 排水管は、表面汚れや錆はあるもの、肉厚は十分あり継続使用すべき➡大規模な修繕を計画する必要はない。(5)全建センターの調査診断結果の傾向 全建センターでは2018年より、32管理組合から相談を受け、無償で給排水設備の調査診断をいたしました。 その結果、給排水管の更新工事を必要と判定したマンションは1管理組合だけです。この1管理組合での更新をしなければならなかった内容は、埋設の排水塩ビ管が沈下をして継手が破断したものを調査で見つけたもので、「これは変えざるをえない」という提案をさせていただきました。それ以外は、継続使用が可能なマンションがほとんどです。 しかし、それでも更新をしたほうがいいだろうという部位があります。 給水管の異種金属接合部、要するに管(鉄)と、バルブ等の継手の銅が接合したときに異種金属接合になるので、鉄が腐食する割合が高くなります。この異種金属接合部は一部取り換えた方がよいという提案をさせていただいております。(6)本当の竣工時期別給排水管修繕方法■修繕計画から給排水管更新工事を除外すべきマンション1.給排水管更新工事をすでに実施したマンション 一度実施すれば十分です。何度も更新工事を計画する必要はありません。竣工時期は別にして、一度でも給排水管更新工事をやったマンションは今後、長期修繕計画に給排水管の更新工事を除外してください。2. 1977年以降の竣工で、給排水管更生工事をすでに実施したマンション 排水の横引管がスラブ上にあるマンション、共用給水管が共用部分にあるというマンションが条件になります。こうしたマンションで更生工事をすでに実施したということは、劣化や腐食を予防する工事がされているということなので、更新工事ではなく、2度目、3度目の更生工事をやるかどうかという考え方が得策です。3.1990年以降の竣工のマンション 給排水管の更新工事を長期修繕計画に入れる必要はありません。1990-3 -

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