大規模修繕工事新聞21年11月号(No.143)
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軟化剤で塗膜を柔らかくし、40MPa前後の温水で塗膜を剥がす剥がれた塗膜は雨水管を通って雨水桝に流れるため、清掃が非常に大変な作業となる21,000回/秒の振動で皮を剥ぐように塗膜を剥がすコンクリートに筋ができてしまうため、左官による補修が必要円盤状のダイヤモンドの付いた刃を付けて塗膜を剥がすサンダーケレンを改良し、粉塵の出ない工法として近年採用が増えている粉塵が大量に発生し、サッシの隙間や換気口から部屋内に入り込む■超音波ケレン専用の機械の先の「たがね」を躯体コンクリートと塗膜の間に差し、1秒間に21,000回振動させて皮を剥ぐように塗膜を剥がします。超音波のように「キィーン」という高音がすることが特徴で、大きな騒音や振動が発生しないメリットがあります。 削った塗膜を拾い集めることができ、清掃が比較的簡単ですが、幅の狭い「たがね」で削り取ることにより、コンクリートに筋ができてしまうデメリットがあります。 そのまま塗装を仕上げてしまうと、光の当たり方によって筋が浮き出てくることがあるので、必ず左官工による補修が必要になります。■サンダーケレンベビーサンダーと呼ばれる機械に、円盤状のダイヤモンドの付いた刃を付けて塗膜を削り取ります。写真のように粉状になった塗膜が飛散するとともに、コンクリートを削る激しい騒音が発生します。削った後のコンクリート表面は、削り方一つで凸凹になります。サンダーケレンは大量の粉塵が発生し、居住者のみならず作業員に対しても、非常に厳しい作業環境となります。飛び散った粉塵は、サッシの隙間や換気口から、容易に部屋の中に入り込んで来ます。 このため、現在の剥離作業では、建物の外壁で実施することはほぼ無く、鉄骨階段等の鉄部の一部のサビ落とし作業で採用されることが多い工法です。■集塵機付きサンダーケレンサンダーケレン工法を改良し、より平滑にさらに粉塵の出ない工法として近年採用が増えています。丸い刃の周辺に全体を覆うカバーを取り付け、壁との接着面積を大きくして削り過ぎを防止するとともに、カバーの中の粉塵を吸い込む集塵機に接続して作業を行います。 実際の剥離工事では、既存塗膜の硬さや厚み、下地のコンクリートの状況等を試験施工によって確認し、最適な工法を選択して実施します。 集塵機付きサンダーケレン工法は、現状の工法の中では、騒音、振動、粉塵が最も少ない最適な方法と考えられます。-9 -

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