大規模修繕工事新聞2021年7月号(第139号)
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12345678910◇4 2022年 火災保険値上げへ―!?住宅向け火災保険料が2022年にも最大11%強の値上げをすることがわかりました。一般向け住宅火災保険の改定はマンション保険にも連動します。保険料の値上げはマンション管理費を圧迫します。特に築20年超のマンションは、次の契約更新時に大幅な保険料アップが確実視されます。 火災保険料の値上げ理由は、多発する自然災害(大型台風やゲリラ豪雨など)による保険金支払額の負担増加で、損保会社の収支が悪化しているためです。 1959年以降の主な自然災害の支払保険金順位を下表(一般社団法人日本損害保険協会調べ)にしました。上位10件には2018年、2019年の災害が5つも入っています。特に2018年度は、国内自然災害に伴う大手損保の保険金支払額が、東日本大震災時を上回り過去最大となりました。 この保険金支払額が保険料に反映されることになるのです。 では、それぞれのマンションで、かかる保険料をできるだけ節減するためにはどうすればよいでしょうか。2018年 9月平成30年台風21号2019年10月令和元年台風19号1991年 9月平成3年台風19号2019年 9月令和元年台風15号2004年 9月平成16年台風18号2014年 2月平成26年2月雪害1999年 9月平成11年台風18号2018年10月平成30年台風24号2018年 7月平成30年7月豪雨2015年 8月平成27年台風15号事 例川崎市 1992年3月竣工(築29年) 61戸 エレベーター1基共用部分評価額約定付保割合共用部分保険金額施設賠償責任保険個人賠償責任保険事例マンションの現在の契約と同水準の保険料比較 現在の契約536,425107,285事故なし事故あり5年一括保険料1年当たり保険料5年一括保険料1年当たり保険料備  考の制度や補償内容などの理解が必要。過去の主な風水災等による保険金の支払い(1959年以降)発生年月現在の契約概要1億6,900万円60%1億140万円1億円(免責0円)2,000万円(免責0円)A社1,486,120297,2241,728,070345,614・ 事故件数に応じて料率を5区分設定。1戸室当たりの事故件数0.14を超えると割引適用せず・ 過去15年間で給排水管の工事を実施していた場合、割引適用ありB社921,980184,3961,236,950247,390・ 1戸室あたりの事故件数が0.02を超えると割引適用せず・ 延床面積3,000㎡以上の場合、管理状況に応じて割引適用あり・ メンテンナンス状況を診断。上表は50/100と仮定・ 1戸室あたりの事故件数が0.02を超えると割引適用せず 「まずは管理組合のみなさんが損保各社の保険料比較をしたり、保険料体系や補償内容を理解したり、そうやってマンションにかかる保険そのものを把握することに尽きます」というのはマンション保険を数多く手がける㈱グッド保険サービス・伊藤昌弘専務取締役。来年の保険料の値上げ改正前に、管理組合として具体的な対策がとれるよう、早めに問題意識を持って行動を起こすことが必要だといいます。 ただし、管理会社が保険代理店になっている場合、損保各社の保険料比較は期待できません。複数の損保会社を取り扱う保険代理店やマンション管理士等の専門家を招き入れて検討するなど、管理組合が主導してマンション保険問題に取り組むことをおすすめします。災害名大阪・京都・兵庫東日本全国関東全国関東熊本・山口・福岡東京・神奈川・静岡岡山・広島・愛媛全国        ※一般社団法人日本損害保険協会調べ(2020年3月末現在)近年の主な改定項目・保険期間最長5年保たじ応に数件故事 ・険料体系・築年数別保険料体系C社3,499,180699,8364,665,640933,128D社3,617,330723,4663,848,400769,680・ 事故件数ゼロの場合に割引適用あり・ 延床面積3,000㎡以上の場合、管理状況に応じて割引適用あり<取材協力> ㈱グッド保険サービス ●取扱い保険会社:損保大手5社 ●契約管理組合数:490件(棟数:680棟) ●事故処理件数:3,000件地域支払保険金1兆679億円5,826億円5,680億円4,656億円3,874億円3,224億円3,147億円3,061億円1,956億円1,642億円更新後の契約概要1億6,540万円61%1億140万円1億円(免責0円)3,000万円(免責0円)(単位:円)E社1,747,410349,4823,022,400604,480・ 1戸室当たりの事故件数が0.02を超えると割引適用せず・ 延床面積6,000㎡以上かつ保険金額10億円以上の場合、管理状況に応じて割引適用あり※ 1年当たり換算で約10万円強だった現在の契約だが、次回更新時には7倍以上にもなってしまうケースもある。保険料のチェックだけでなく、保険料体系2022年 火災保険値上げへ多発する自然災害で、損保会社の収益悪化多発する自然災害で、損保会社の収益悪化築20年超のマンションは大幅アップが確実築20年超のマンションは大幅アップが確実

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