大規模修繕工事新聞2021年7月号(第139号)
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理事長職17い2闘!え●マンション概要 ・Hマンション管理組合 ・築30年・RC造・2棟・11階建て ・40戸+3店舗 ・駐車場/18台 ・役員/理事5人、監事1人 ・任期/ 1年(立候補制)、再任を妨げな 分譲会社や建築会社、管理会社に対抗して立ち上がる管理組合は、共通の“敵”の存在に対して、住民同士がまとまる傾向にあり、コミュニティ活動が盛んになるなど、思わぬ副産物につながることがある。 一方、マンション内部でもめごとがあると、合意形成を阻むことにつながり、住みにくいマンションの典型となってしまう。そんなマンションでは住民は当然、組合活動に無縁で、特定の人の利得となる組合運営が平然と行われていることが多い。 現在の理事長Xさんは、その役職について今年で17年目になるという。理事は立候補制で、メンバーも変わらない。ただ、決め事をしているのは理事長だけで、他の理事は理事長にお任せしている。そんな状態がずっと続いてきているマンション。 そのX理事長が得意げに語るのだという。「私がやってきたことは全部記録している。だれが見ても一目瞭然、いつ何をやったかすぐわかる」。 Aさんがマンションに越してきたのが3年前。それまで住んでいた名古屋のマンションでは輪番制の理事会で、理事長を17年も続けているというのが信じられなかった。 さらにX理事長のいう「管理組合活動履歴」という書類をみたが、「第○期 鉄部塗装 1,200万円」「第○期 共用部分火災保険料 5年一括480万円」など、これまでの実績を表にしているだけの簡易なもので、何がすぐわかるのか、言葉が出なかった。 そして何よりもまず気になったのが会計処理に関して、駐車場使用料収入の記載がどこにもなかったことだ。 Aさんは駐車場使用料の充当先についてX理事長に尋ねた。返答は「駐車場はYさんのものだからね。管理組合は管理料をもらって管理しているんだよ」。まったく意味がわからない。 Yさんとは周辺一帯の大地主とのこと。マンションももともとYさんの土地で、現在は住戸3戸と3店舗のほか、18台分の駐車場がある1階ピロティ部分を所有権登記しているらしい。 その駐車場を管理組合が管理している?Yさんから管理料をもらっている?  管理会社は現在、独立系の大手管理会社に委託しているが、元の管理会社はマンションを分譲した地元デベロッパーだった。会社の倒産によって、現在の管理会社に変更。ただ、フロントマンの姿を見たことがない。 Aさんが全建センターに相談に来たのは「わからないことが多々あることがわかってきた」という段階で、「この状況をどう踏み込んでいいのか」と困惑しているということだった。長期政権の危険性は、(自覚があるにしろ、ないにしろ)自分のやっていることが当然で間違いないと思い込んでしまうことにある。 ただ、X理事長は80歳近い。40代のAさんはX理事長に言い切られると言葉を飲み込んでしまう。 だから聞いてもらえる相談先がほしかった。 ・理事会開催頻度/2カ月に1回マンション管理組合奮闘記Data. 8

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