大規模修繕工事新聞21年10月号(No.142)
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②誤った判断の原因は? 調査の経験不足と考えます。調査員が若年になるとモルタル下地であることを理解せず、打診の結果のみで「鉄筋曝裂」を「浮き」と判断してしまうことがあります。 判断しているのは施工会社ですが、本来設計者が間違いを指摘しなければいけないと思います。新築時の図面と現場の浮きの状態・場所・数量等を総合的に判断し、疑わしい部位を試験施工で確認する必要があります。③一連の「誤った判断」の正解は? 特に改修工事の施工会社は、新築工事を知らない現場代理人が多くいます。当社では新築の経験がある自分が定期的に研修を行い、新築時の施工方法、問題点等を若年の現場代理人の知識の向上を計っています。 なぜ鉄筋曝裂が発生しているのか、なぜ「浮き」が発生しているかといった根本を理解しなければ正しい判断は出来ないと思います。 調査の方法については打診で判断するしかないので、総合的な判断(経験)によるところが大きくなってしまいます。 結果、鉄筋曝裂を打検調査にて「浮き」と判断し、間違った補修方法を選択してしまう原因になるのです。-5 - 思います。 3回目の大規模修繕工事では、根本的な劣化が厚いモルタル層や塗装、防水の裏側に隠れ、本来実施しなければならない補修工法と違った選択をしてしまうことがあります。 そのため、1回目、2回目の大規模修繕工事とは違った、より詳細な建物調査と、50年、60年後の先を見越した修繕計画が必要になります。しっかりしたメンテナンスを行えば、鉄筋コンクリートの建物は100年以上持ちます。④ 「間違った補修方法」とは、鉄筋曝裂なのに「浮き」の補修で済ませてしまったという意味? その通りです。本来表層のモルタルを撤去し、躯体コンクリート部分の鉄筋曝裂を補修する必要がありますが、鉄筋曝裂の影響で浮いたモルタルの処理しかしていないため、本来の補修が行われず、不具合が再発してしまうのです。⑤その他、建物の長寿命化の重要な要素は? 定期的なメンテナンスはもちろんですが、正しい判断と正しい工法、正しい材料で補修をすることが重要です。実績のある施工会社、監理者を選択することが管理組合等の不具合箇所を部分的に薄塗り補修をする工法に代わり、モルタルの施工は行われていません。図面上では「コにとって重要だと

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