100年住宅の実現に向けて次の世代に住み継がれるマンションへ マンションの長寿命化とは、次の世代に住み継がれるマンションの仕組みづくりだと考えております。 築40年を超えてくると、高経年マンションと言われますが、100年という単位を考えたとき、築40年、築50年はまだまだ半分程度。人間で言えば40歳頃の働き盛りの年代にあたります。 時間の経過とともに高経年マンションになると、新築時からお住まいの方、若い世代が中古で購入された方、またそのお子さんたち、幅広い年齢層が一つ屋根の下のマンションで共に暮らすこととなります。築40年、50年くらいのマンションの特徴ともいえます。 高齢になりますと、若い頃には気にならなかった段差、デイサービスの往来、設備の老朽化、オートロックや宅配ボックスなど、時代とともにマンションに求められるものも変化します。 幅広い世代が共に手を取り合い、安心して快適に暮らせるマンション再生がこれからの時代、求められることではないかと思います。100年住宅に求められること「防災対策」「収益性」「住みやすさ」「資産価値」 100年住宅に求められることを、「防災対策」「収益性」「住みやすさ」「資産価値」という4つのグループに分けます。 一番大切なのは「防災対策」で、防災対策をせずに住 一般社団法人全国建物調査診断センターが2カ月ごとに主催している恒例管理組合オンラインセミナーの一部を紙上採録します。今回は8月27日にVimeoで公開した第65回セミナー「マンションは100年持つ!」後編です。前編は165号2、3ページをご覧ください。なお、これまでのセミナーはVimeoにより動画配信を行っています。みやすさを追求することは難しいといえます。災害時は●講師 一級建築士事務所 株式会社 耐震設計もちろん、通常時も有効活用できる雨水再利用、太陽光発電。ほかにも感電ブレーカー、対震ドア、災害時の備●岡田和広氏 構造設計一級建築士えとして備蓄倉庫の設置。それに避難計画や避難対策も重要です。●藤本加奈子氏 既存不適格の解消として、例えばエレベーターは煙が マンションリノベーションアドバイザー入らないような防災仕様に法律が変わっています。既存●増澤洋二氏 マンションリノベーションアドバイザー不適格についても現行法(新基準)に適合するようにしていくことも防災対策として必要です。 収益性という部分では、例えば駐車場に空きが出てくると、カーシェアでその駐車場を貸し出すとか、施設を貸すことによって収益をマンション自体で上げることが考えられます。 高経年になればなるほど、建物の維持管理にお金がかかることから、自ら収益を上げて修繕費に回すということもこれからの時代に必要ではないかと思います。 住みやすさの部分では、例えば、エントランスの改修。デザインを一新したり、アクセス部分の改修をしたり、段差の解消でバリアフリー化したり。また、断熱対策として玄関や窓サッシの改修や不要な植栽の伐採、通信関係や防犯対策を今の時代に合わせていくことなどが考えられます。 資産価値では、築40年、50年くらいのときに、やはり長期修繕計画の抜本的な見直しをかけ、修繕項目や修繕積立金の見直しをやっていく必要があると思います。 適切な外装材や防水材の選定によって一時的に費用をかけても修繕周期を延ばすと、将来的に修繕積立金が安定してくるといった部分もあります。 大規模修繕工事で外観を一新させてデザイン性をアップする、設備や配管の更新も最新のものにすることなども、資産価値の向上にもつながるといえます。補強+大規模修繕+機能改善工事事例補強+大規模修繕+機能改善工事事例【ケース4】年 代:昭和43年(築後53年=補強工事当時)規 模:11階建て・110戸構 造:鉄骨鉄筋コンクリート造-4 -
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