既設エレベーターを含め、すべてのエレベーターの安全が必要だと、16歳の命が伝えているものとして訴え続けています。再発防止に向けた主な対応再発防止に向けた主な対応 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当) 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当) 港区シティハイツ竹芝の事故を受け、大きく4つの再発防止に向けた対策を行っております(表2参照)。 この中で、今回の説明会のテーマである④「昇降機維持管理指針」「エレベーター保守・点検業務標準契約書」は、平成28年2月に公表しています。 昇降機は大前提として、子どもやお年寄りの方も含めて幅広い方が日常的に活用するもの、常に安全であることが求められるものであります。また、昇降機は数多くの部品から構成される複雑な機械装置であるもの、適切な維持管理が重要であるものです。 一方で、専門的な知識を持たない昇降機の所有者・管理者が自ら点検などを行うことは困難なため、保守点検業者が契約書に基づいて定期的に保守点検を行うことが必要になります。 そこで、所有者の方々が適切に維持管理できるように、昇降機の維持管理指針、標準契約書を作成しました。 港区では、2006年に発生した事故を踏まえまして、2017年度より戸開走行事故発生時の対応訓練・研修を継的に実施していただいています。 関係機関の協力のもと、戸開走行事故に伴う利用者の挟まれ・閉じ込めなどを想定して、防災センター職員が事故現場の状況確認し、119番、エレベーター保守管理会社、港区へ通用するなど、事故発生から救出までの流れを、各場面で求められる対応を把握することで事故対応能力の第492号「論談」より■9月は防災月間 9月1日の「防災の日」は、広く国民が台風、高潮、津波、地震などの災害についての認識を深め、対処する心構えを準備するために制定することが閣議決定され、はじまったものである。 今年に入り、地震が多いように感じ、また台風等による大きな水害も想定されるので、マンションにおける防災対策を論じておきたい。■管理組合の防災責任 マンションにおける防災は管理組合の役割か。管理組合は「区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために設置される」ことを考えると、一定の責任を負うと考えるのが当然である。 防災対策の範囲については、管理組合を構成する居住者の意識によるところが多い。マンションに自治会や防災会があれば、相互協力の中で自ずと管理組合の分担範囲も決まるだろう。向上を図っていただいております「昇降機の適切な維持管理に関する指針」及び「エレベーター保守・点検業務標準契約書」解説編集・発行/一般財団法人日本建築設備・昇降機センター体裁/ B5判・143ページ一般価格/ 1,426円(税込)■安全確保=建物保護 そもそもマンションにおける防災対策の目的や方針はマンション内で死傷者を出さないことを大前提としながら、建物と設備の保全を図ることである。 そのために誰がどこまでの範囲で防災対策を行っていくのかを、管理組合を中心とした居住者であらかじめ決めておく必要がある。 建物の耐震確保は前提として、「建物・設備の点検に必要な図面・鍵・点検手順の把握」をあらかじめ行い、災害が発生したら「建物と設備を確認すること」「エレベーター閉じ込め者の捜索、救出」を行うことは管理組合の責任である。■事前対策を重視 被災直後は人命救助と初期消火の体制を取ることは当然であるが、被害にあってから助け合うことより、被害を減らす事前の対策を重視する。 例えば、飲料・食料の備蓄がどうなっているのか。トイレはどうするのか。避難所はどこにあるのか(最近は「在宅避難」という考え方もある)、長期停電したらどうするのか等々を管理組合だけでなく、組合員以外の居住者にも加わってもらって、しっかりと考えていきたい。 (NPO日住協論説委員会)-13 - マンションにおける防災対策NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2023年9月5日付
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