大規模修繕工事新聞22年12月号(No.156)
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  第三者管理とは外部の専門家が理事長等の役割を代行するもので、マンション標準管理規約には外部専門家を活用するパターンがいくつか記載されています。 この中でも管理会社の提案は、国家資格を持つ社員が理事長(管理者)となり、理事会を廃止する「外部管理者総会監督型」にあたると考えられます。 管理会社の趣旨は、管理組合側が抱える組合員の高齢化、役員になることへの負担、専門知識の不足などの問題に対し、「マンション管理のプロ」が組合運営をサービスとして提供することで管理組合を取り巻くさまざまな課題を解決しましょう、というものです。 とはいえ、理事会を廃止した上で、管理会社による第三者管理となれば、修繕工事をはじめとするマンションで発生する業務すべてが管理会社の協力会社への発注で完結してしまう懸念が生じます。 管理会社は業務の透明性を図るために内部監査に注力したり、利益相反となる取引は総会で承認を受けて履行するなどとしていますが、果たして管理会社のいうとおり、さまざまな課題の解決になるのでしょうか。 マンションの高経年化、住民の高齢化等から、理事会方式による組合運営が難しくなっていく傾向にあることは否めません。 とはいえ、業務委託の上、意思決定もすべて管理会社任せという組合運営は管理会社の言いなりそのものといえるでしょう。 マンション標準管理規約では別添1「外部専門家の活用のパターン」において「③外部管理者総会監督型」とする場合、「区分所有者から監事を選任して監視する」「全区分所有者で構成する総会が監視する」「監査法人等の外部監査を義務付ける」といった考え方を記載しています。 大前提は組合員による組合運営です。役員のなり手不足や区分所有者の無関心によって、確かに管理不全に陥いる恐れのあるマンションなど、理事会廃止の管理会社による第三者管理サービスを必要とするケースといえるかもしれません。 だからこそ監視機能の整備は必須でしょう。全建センター「マンション総研」では、こうしたケースでの監査サービスに応える体制を確立していく予定です。●問い合わせ一般社団法人全国建物調査診断センター「マンション総研」☎03-6304-0278info@zenken-center.comhttps://www.mansion-soken.com-10 -

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