大規模修繕工事新聞22年7月号(No.151)
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材料の値上げはホームセンターの陳列棚でも明らか 大手塗料メーカーの例では、昨年8月から8カ月後の今年4月に価格改定第2弾を発表しました。 価格改定率はおよそ10%~ 30%です。1万円の塗料(15kg/缶)について20%と30%の2回の価格改定を行ったとすると、わずか8カ月の間に単純計算で約1.5倍…1缶当たり5,600円の値上げが行われることになるのです。 「前回の価格改定以降も値上げに歯止めがかからない」「企業の自助努力の限界を遥かに超える状況」―新型コロナウイルスまん延による世界経済の停滞と回復に伴う需要拡大、ロシアによるウクライナ侵攻による原油の高騰などで、原材料の高騰が続いています。 日銀は5月の国内企業物価指数が前年同月比で9.1%上昇(15カ月連続上昇)したと発表しました。石油・石炭製品のほか化学製品などが上昇し、円安による輸入コストにも影響され、企業間の物価上昇は「消費者にとってもさらなる物価高が懸念される」といわれています。 マンションの大規模修繕工事では、外壁や内壁の塗料、ベランダや屋上の防水材、部材と部材のつなぎ目を埋めるシーリング材、建具や支持金物などの材料も次々と価格改定が行われています。業界では昨年夏に続き、今年の4月、5月にも各メーカーが続々と原材料費や物流価格の値上げを発表しています。 外壁塗料はもちろん、共用廊下、ベランダ・バルコニー、屋上、庇等に使用する防水材、コンクリートのつなぎ目やタイルの目地、窓枠の隙間などに充填するシーリング材など、使用範囲の広い材料は全体工事費に大きく影響することになるでしょう。 とはいえ、価格改定によってメーカーが安定供給できるかというと、そういうわけでもないようです。 「100円のコストアップも売価への反映は44円にとどまる」―帝国データバンクが6月に行った「企業の価格転嫁の動向アンケート」(インターネット調査/アンケート期間:2022年6月3日~6日、有効回答企業数:1,635社)によると、仕入れコストが100円上昇した場合に44.3円しか販売価格に反映できていないという結果になりました。 経済産業省では、コロナやウクライナ侵攻等を背景とする原材料費の高騰、円安の進行などで仕入れコストが上昇している現状を踏まえ、価格転嫁促進策を積極的に推進させようとしています。 しかし、一般社会の現場では、取引先との関係や価格競争から「企業ががまんできない状況」が生じ、値上げが繰り返される要因となっていると言われています。メーカーの材料費値上げは昨夏に続き、4月5月も続々と-2 -

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