大規模修繕工事新聞22年7月号(No.151)
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 現在、契約書式モデルとなっている『マンション修繕工事請負契約約款』には、発注者や受注者、工事期間、請負代金、支払い方法のほか、工事完成保証や大規模修繕工事瑕疵担保責任保険の欄も盛り込まれています。 ところが、実際のマンション大規模修繕工事ではこの約款をもとにした契約書式が利用されていないケースが少なくありません。 管理組合は施工会社に保険の加入を依頼していても、工事請負契約書に書いておらず、申請もしていなければ、保険加入をした実態はないというものになります。 さらなるトラブルを避けるためにも、管理組合の保険加入の申し入れや契約書の確認を忘れてはいけません。全建センターのマンション大規模修繕工事完成保証制度では、工事完成保証や瑕疵担保責任保険の欄等を盛り込んだ『マンション修繕工事請負契約約款』の活用をおすすめしています。__全建センター「大規模修繕工事の完成保証制度のご案内」https://kansei-hosyo.com・ 工事完成保証…工事会社の倒産等による工事中断など、万が一の際の保証に対応する。・ 瑕疵担保責任保険…施工瑕疵の費用をカバーする保険。住宅瑕疵担保責任保険法人が保険引受を行う。 「工事完成保証と瑕疵担保責任保険の加入について、管理組合と合意したにも関わらず、契約を結んでいなかった」―こうしたケースが頻発しています。 保険は事故があったときに活用するもので、事故やトラブルがなければ掛け捨てとなります。しかし、いったん問題が起ったときに「契約を結んでいなかった」となると一大事です。 なぜこんなことが起こるのでしょうか。問題は施工会社に本当に保険が浸透しているのかということがカギになります。 工事完成保証は工事会社の倒産にそなえ、また瑕疵担保責任保険は施工会社の施工不良にそなえるものです。倒産や施工不良を前提に管理組合に保険加入をすすめることは矛盾しているかもしれません。 また、保険契約者が管理組合ではなく、施工会社となり、施工会社が保険料を払う仕組みとなっています。保険料は物件ごとです。自ずと工事費に反映せざるを得ないため、なるべく見積額を下げるには保険料を含めたくないのです。 とはいえ、管理組合から要望があり、保険加入によって工事契約が結ぶことができれば施工会社にとっても否定できるものではありません。また、万が一のときには、施工会社がかし保険の保険金を請求できるため、施工会社にもメリットがあります。ただ、以上のように施工会社には消極的になってしまう理由もあることから、物件担当の営業マンがよく理解しておらず、「会社が登録しているから総務任せにしていた」「工事契約書に明記しなかった」などの不手際が生じることになるようです。-11 -

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