大規模修繕工事新聞140号2021-08
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..202185【相談】 管理費や修繕積立金、専用庭使用料(管理費等)を6カ月分滞納していた組合員が自己破産の申し立てをしました。この住戸には住宅ローンの抵当権が設定されており、管理組合が配当を受ける見込みはありません。この場合、滞納管理費等の回収はどうしたらよいでしょうか。相談者:理事長マンション概要:築15年・30戸管理会社に全面委託しているが、滞納者への督促業務は、電話・自宅訪問・督促状までの契約となっている。破産者に法的措置は難しい特定承継人に請求することに【回答】 滞納管理費等について、破産者である当該組合員に財産があり、その財産を換価して配当がなされる場合は回収できる可能性がありますが、配当がなされない場合は回収できないでしょう。 破産管財人が当該マンションを換価するために売却した場合や競売にかけられた場合、マンションの買主(特定承継人)が現れますので、それ以降は当該買主に請求することになります。【解説】 自己破産とは、借金の返済ができなくなったとき(これを「支払不能」といいます)、裁判所に申し立てて免責許可をしてもらい、債務を免除してもらう手続きです。 破産者に換価する財産がなく、破産手続きの費用もまかなえない場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続きも終了します(これを同時廃止といいます)。破産者がマンションを所有していても、その評価額を超える抵当権が設定されている場合には、同時廃止になることがあります。 この場合、破産者には財産がない訳ですから、現実的に滞納管理費を払ってもらうことはできないでしょう。そして、破産者に対し免責許可決定がなされた場合は、滞納管理費債務が免除されますので、これを請求することはできなくなります。 破産者に換価する財産がある場合、裁判所から破産管財人が選任されます。この場合、管理組合としては、滞納管理費債権について管財人に債権届出書を提出し、配当がなされるのを待つことになります。管理費に対する債権は区分所有法により他の一般債権よりも優先的に弁済されることが規定されています。 また、破産手続開始決定後に発生した管理費等については、破産法上、優先的に弁済を受けることが認められています。したがって、管理組合はその管理費等の支払時期ごとに破産管財人に請求を行います。 なお、区分所有法8条は、管理費等の債務について、当該物件の特定承継人も債務を負うことを定めていますので、破産管財人が換価のためにマンションを売却した場合や競売手続きで競落された場合、管理組合はマンションの買主や競落人(特定承継人)に対して、管理費等を請求できることになります。ISO9001・14001認証取得により、万全な品質管理と環境に配慮した施工管理システムを構築致し、お客様に安心とご満足を頂ける改修工事をご提供致します。13滞納者が自己破産管理費回収はどうすればいい?全国建物調査診断センター 協力弁護士 山村行弘氏伝統に培われた信頼と技術を提供いたします。マンションの建物調査から大規模修繕工事まで東海塗装株式会社リニューアル事業部◆山村弁護士への相談は… 〒100−0012 東京都千代田区日比谷公園1−3 市政会館4階 ☎03−5510−2121 FAX. 03-5510-2131 E-mail:yamamura@oylaw.jp山村行弘(やまむら・ゆきひろ)弁護士平成28年、大空・山村法律事務所を開設。第一東京弁護士会刑事弁護委員、独立行政法人国民生活センター発刊『国民生活』の“暮ら経本日、)年7102〜年0102( ”A&Q律法のし済新聞「ホーム法務Q&A」(2018年1月〜)の執筆担当。教えて!この弁護士が味方です!弁護士相談Q&A

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